持っている間にかかる税金の日韓比較|固定資産税と韓国の総合不動産税【2026】

不動産

買うときの費用は一度きりですが、保有税は持っている限り毎年出ていきます。 5年、10年と持つ前提なら、初期費用より効いてくることもあります。

前回までと同じモデル——日本の1億円のマンション韓国の10億ウォンのアパート——で、1年あたりいくらかかるのかを計算します。

そして結論を先に言うと、このモデルでは日本のほうが重くなります。 ただしそれは「韓国側が控除枠の内側にいるから」であって、物件価格が上がると逆転します。その分かれ目まで書きます。

この記事は2026年8月時点の公的情報をもとにした情報提供です。金額は条件を固定したモデルケースであり、実際の税額は評価額・所在地・保有状況によって変わります。特定の投資を勧めるものではありません。

モデルの前提(前回と同じ)

日本韓国
物件価格1億円10億ウォン
評価額固定資産税評価額 7,000万円<br>(建物1,500万+土地5,500万)公示価格 7億ウォン
用途投資用(自分では住まない)投資用(自分では住まない)
保有件数1件のみ1件のみ
保有者非居住者非居住者
  • 評価額はどちらも実勢価格の7割程度という想定です。日韓とも、税金の計算に使う価格は市場価格より低く設定されています。
  • 換算は「1円 ≒ 10ウォン」の概算です。

日本:毎年かかる2つの税

日本の保有税はシンプルで、固定資産税と都市計画税の2つだけです。どちらも1月1日時点の所有者に課され、市区町村がまとめて課税します。

住宅用地の特例が大きく効く

計算に入る前に、日本の保有税で一番重要な仕組みを押さえます。

住宅が建っている土地は、課税標準が大幅に下がります。

区分固定資産税都市計画税
小規模住宅用地(200㎡以下の部分)1/61/3
一般住宅用地(200㎡超の部分)1/32/3

そして投資家にとって効いてくるのが次の点です。

この特例は、自分が住んでいるかどうかを問いません。 人に貸している住宅の敷地でも適用されます。マンションの場合は敷地の持分に対して、戸数で按分した面積で判定されます。

登録免許税や不動産取得税の軽減は自己居住が条件でしたが、保有税の住宅用地特例は投資用でも使えます。ここは日本の保有コストを大きく引き下げている要素です。

計算

固定資産税(税率1.4%)

対象評価額特例後の課税標準税額
土地(持分)5,500万円5,500万 × 1/6 = 約917万円約12.8万円
建物1,500万円1,500万円21万円
小計約33.8万円

都市計画税(税率0.3%)

対象評価額特例後の課税標準税額
土地(持分)5,500万円5,500万 × 1/3 = 約1,833万円約5.5万円
建物1,500万円1,500万円4.5万円
小計約10万円

年間合計:約44万円(物件価格1億円に対して約0.44%

なお、日本には高額物件だけを狙い撃つ保有税がありません。 1億円でも5億円でも、同じ税率が評価額にかかるだけです。この点が韓国と決定的に違います。

韓国:財産税と総合不動産税の二階建て

韓国の保有税は二階建てです。

  • 1階:財産税 — すべての保有者にかかる
  • 2階:総合不動産税 — 公示価格が一定額を超えた人だけにかかる

基準日は6月1日です。日本の1月1日と違うため、5月末に買うか6月2日に買うかで、その年の負担者が変わります。 売買のタイミングを決めるときに実務上よく意識される点です。

1階:財産税

課税標準は公示価格をそのまま使うのではなく、公正市場価額比率を掛けて圧縮します。日本の住宅用地特例とは仕組みが違いますが、「評価額より低い額に課税する」という発想は共通しています。

“` 課税標準 = 公示価格 7億ウォン × 公正市場価額比率(60%) = 4.2億ウォン “`

これに累進税率をかけます。

課税標準の帯税率
6,000万ウォン以下0.1%
〜1.5億ウォン0.15%
〜3億ウォン0.25%
3億ウォン超0.4%

4.2億ウォンの場合、累進で計算すると約105万ウォンになります。

さらに次の2つが加わります。

項目計算金額
財産税(本税)上記の累進計算約105万ウォン
都市地域分課税標準 4.2億 × 0.14%約59万ウォン
地方教育税財産税本税 × 20%約21万ウォン
合計約185万ウォン

約185万ウォン=約18.5万円です。

2階:総合不動産税 — このモデルでは「かからない」

総合不動産税は、保有する住宅の公示価格の合計から控除額を引いた残りに課税されます。控除額は保有者の区分によって変わります。

区分控除額
1世帯1住宅(居住者)12億ウォン
それ以外(複数保有・非居住者を含む)9億ウォン

モデルの公示価格は7億ウォン。控除額9億ウォンを下回るため、総合不動産税はかかりません。

ここが重要な点です。非居住者は、韓国に1件しか持っていなくても「1世帯1住宅」の優遇を受けられません。 控除枠が12億ではなく9億になります。それでも7億なら枠内ですが、もう少し高い物件を買った瞬間に、この差が効いてきます。

韓国側の年間合計

約185万ウォン(≒18.5万円)、物件価格10億ウォンに対して約0.19%です。

並べて見る

日本(1億円)韓国(10億ウォン)
基準日1月1日6月1日
1階の税固定資産税 約33.8万円財産税 約105万ウォン
付随する税都市計画税 約10万円都市地域分 約59万ウォン<br>地方教育税 約21万ウォン
2階の税制度なし総合不動産税(このモデルでは非課税
年間合計約44万円約185万ウォン(≒18.5万円)
物件価格比約0.44%約0.19%
5年間約220万円約925万ウォン(≒92.5万円)

このモデルでは、日本の保有税は韓国の2倍以上になります。

ただし、どこかで逆転する

この結果を「韓国のほうが安い」と一般化することはできません。理由は2つあります。

① 総合不動産税の控除枠を超えた瞬間に跳ね上がる

韓国の2階部分は、控除額を超えた分に対して累進課税されます。非居住者の控除枠は9億ウォン。公示価格が9億ウォンを超える物件——実勢価格でおおよそ12〜13億ウォン級——を買うと、そこから総合不動産税が発生します。

日本には該当する制度がないため、物件価格が上がるほど日本の相対的な有利さが増していきます。

② 保有件数が増えると税率区分が変わる

韓国では複数保有によって総合不動産税の税率区分が上がります。日本の固定資産税は、何件持っていても1件ずつ独立して計算されるだけです。

つまりこういう構図になります。

日本韓国
中価格帯・1件のみ相対的に重い相対的に軽い
高価格帯・複数保有相対的に軽い相対的に重い

日本は広く薄く、韓国は狙い撃ち。 第1回で書いた「税金の思想の違い」が、保有税でそのまま出ています。

非居住者が気をつけること

どちらの国でも、その国に住んでいないと納税通知を受け取れないという問題が起きます。

日本韓国
対応納税管理人を届け出て、通知の受領と納付を代行してもらう同様に代理人を立てる仕組みがある
放置すると納期限を過ぎて延滞金が発生する同様

保有税は毎年自動的に発生するため、受け取る人を決めていないと気づかないうちに滞納になります。 購入時に必ず手当てしておく項目です。

まとめ

  • モデル(日本1億円/韓国10億ウォン・1件のみ・非居住者)では、年間の保有税は日本 約44万円、韓国 約18.5万円
  • 日本は住宅用地の特例が投資用でも使えるため、土地部分の税負担が大きく圧縮される
  • 韓国は公正市場価額比率で課税標準を圧縮する仕組みがあり、中価格帯では軽い
  • 韓国の総合不動産税は控除枠を超えた分だけにかかる。 非居住者の控除枠は1世帯1住宅の優遇より小さい
  • 高価格帯・複数保有では負担が逆転する。 韓国が重くなる
  • 基準日が日本1月1日・韓国6月1日と異なるため、売買のタイミングで負担者が変わる

ここまでで、買うときと持っている間の「出ていくお金」が揃いました。次回は入ってくるお金——家賃収入を比較します。ここで、韓国のチョンセ(伝貰)という制度が投資の形をどう変えているのかが見えてきます。

本記事の金額はモデルケースです。実際の税額は評価額・所在地・保有状況によって変わり、制度自体も改正されます。実行の前には必ず最新の公式情報と専門家の確認をお願いします。


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