※本記事の情報は2026年8月時点で一般に公開されている制度の枠組みに基づく情報提供です。最新の公募要領・様式・締切日は日本商工会議所・全国商工会連合会の公式サイトで必ずご確認ください。
〈使える補助金シリーズ〉① まとめ → ② ものづくり補助金 → ③ 小規模事業者持続化補助金 ←今ここ → ④ キャリアアップ助成金
前回(②ものづくり補助金)は設備投資中心の補助金を扱いました。今回は、より小規模な事業者向けの持続化補助金です。「自分の店・自分の事務所はそもそも小規模事業者に入るのか」「何に使えるお金なのか」「商工会に何を頼めばいいのか」——ここでつまずく方が多いポイントを順に解説します。
小規模事業者持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が経営計画を作り、それに基づいて行う販路開拓・業務効率化の取り組みを支援する補助金です。商工会・商工会議所が事業支援を行い、日本商工会議所・全国商工会連合会が事務局を務めます。
「小規模事業者」の定義は、ものづくり補助金の「中小企業者」よりさらに絞られます。
| 業種 | 従業員数基準 |
|---|---|
| 商業・サービス業(一部除く) | 5人以下 |
| 宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
| 製造業その他 | 20人以下 |
(従業員数のみで判定。資本金基準はなし)
個人事業主・小さな店舗・少人数の士業事務所など、規模の小さい事業者を主な対象とする補助金です。
何に使えるお金なのか
対象経費は「販路開拓」「業務効率化」に関連するものが中心です。代表的なものとして、
- 広告費(チラシ・ウェブ広告・看板等)
- ウェブサイト関連費(ECサイト構築等。単独では申請できず他の経費とあわせて申請する制約があるのが通例)
- 展示会等出展費
- 機械装置等費(販路開拓のための設備)
- 店舗改装費
などが挙げられます。ものづくり補助金が「生産性を上げる設備投資」を主眼にするのに対し、持続化補助金は「売上を伸ばす・業務を回しやすくする」ための幅広い経費をカバーする点が特徴です。
補助額の目安
| 枠 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 通常枠 | 50万円 | 2/3 |
| 賃金引上げ枠 | 200万円 | 2/3(赤字事業者は3/4) |
| 卒業枠 | 200万円 | 2/3 |
| 後継者支援枠 | 200万円 | 2/3 |
| 創業枠 | 200万円 | 2/3 |
インボイス特例:免税事業者から適格請求書発行事業者に転換した小規模事業者は、すべての枠で補助上限額が50万円上乗せされます(通常枠 50万円→100万円、各特別枠 200万円→250万円)。
通常枠に加えて、賃上げや事業承継など、事業者の状況に応じた特別枠が用意されているのが持続化補助金の特徴です。自社がどの枠に該当するかで補助上限が4倍変わるため、公募要領の対象要件を先に確認するのが効率的です。
出典:小規模事業者持続化補助金<一般型>公募要領(P.8)
申請の核心:商工会・商工会議所への相談が先
持続化補助金の申請で最も詰まりやすいポイントが、この「事業支援計画書」の存在です。
申請には、経営計画書・補助事業計画書に加えて、商工会(または商工会議所)が発行する「事業支援計画書」(様式4)を添付する必要があります。これは、事業者が自分だけで用意できる書類ではなく、地元の商工会・商工会議所に事業計画の内容を相談し、確認を受けた上で発行してもらう書類です。
なお、事業者自身が作成するのは「経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)」と「補助事業計画書②(様式3)」です。様式4だけが自分では作れない書類、と覚えておくと整理しやすくなります。
出典:小規模事業者持続化補助金<一般型>公募要領(P.7・P.24)/商工会議所地区・商工会地区
この事業支援計画書の発行には一定の日数がかかります。 公募要領には「事業支援計画書(様式4)発行の受付締切は、原則公募締切の1週間前」と明記されています。申請締切の直前に商工会へ駆け込んでも間に合いません。ここを見落とすと、書類自体はそろっていても申請できません。
申請の流れ
- 自社が小規模事業者の要件を満たすか確認
- 経営計画書・補助事業計画書を作成(地元の商工会・商工会議所に相談しながら進めるのが一般的)
- 商工会・商工会議所に事業支援計画書(様式4)の発行を依頼(この依頼には別途締切がある点に注意)
- 電子申請システムで申請(GビズIDプライムアカウントの取得が必須。郵送・持参による申請は受け付けていません)
- 審査・採択発表
- 交付決定 → 事業実施 → 実績報告 → 補助金交付
最初のステップは「補助金の書類を書く」ことではなく「商工会に相談に行く」ことです。 ここを飛ばして書類だけ準備を進めると、後から計画の練り直しが発生しがちです。
よくある質問
Q. 商工会の会員でないと申請できませんか? A. 会員でなくても事業支援計画書の発行を受けられるのが一般的な運用ですが、地域や商工会によって対応が異なる場合があります。早めに地元の商工会・商工会議所へ問い合わせるのが確実です。
Q. ウェブサイト制作費だけで申請できますか? A. できません。 公募要領は「ウェブサイト関連費のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください」と明記しています。さらに金額の上限もあり、ウェブサイト関連費は補助金交付申請額の1/4(最大50万円)までです。通常枠なら12.5万円(インボイス特例対象者は25万円)、特別枠なら50万円が、この経費の申請上限になります。
Q. ものづくり補助金と同時に申請できますか? A. 対象経費が重複しなければ、制度上は両方を検討すること自体は可能です。ただし同一経費への重複受給はできません。個別の判断は各事務局への確認が必要です。
まとめ
- 対象は従業員5人以下(商業・サービス業)または20人以下の小規模事業者
- 使いみちは販路開拓・業務効率化に関連する幅広い経費
- 補助上限は通常枠50万円・特別枠200万円(インボイス特例で各+50万円)
- 申請の核心は商工会・商工会議所の事業支援計画書(様式4)。発行受付の締切は原則、公募締切の1週間前
- 最初の一歩は書類作成ではなく商工会への相談
次回は同シリーズ④としてキャリアアップ助成金を取り上げます。補助金と助成金の違いから解説します。
前回のものづくり補助金、制度全体の一覧「2026年に中小企業が使える補助金・助成金まとめ」もあわせてご覧ください。


