※本記事の情報は2026年8月時点の公表資料に基づく情報提供です。改定後の金額・施行日は政令案の段階のものであり、確定していません。政令の公布内容を出入国在留管理庁の発表で必ずご確認ください。
〈在留カード・手続きシリーズ〉① 在留カード×マイナンバー一体化 → ② 更新手数料値上げ後の実務 → ③ 永住許可申請の手数料改定 ←今ここ
永住許可を検討している方、あるいは外国人従業員の永住申請を支援する企業の人事担当者の間で、「永住許可の申請手数料が上がるらしい」という話が広がっています。
このシリーズ②では在留カードの更新手数料の値上げを取り上げましたが、今回のテーマは永住許可という別の手続きです。「本当に上がるのか」「いつから」「上がる前に申請したほうがよいのか」——この3点を、すでに決まったこと・案の段階のもの・まだ確認できていないことに分けて整理します。
そもそも永住許可と在留カード更新は別の手続き
まず前提の整理です。
- 在留カード更新:すでに持っている在留資格の期間を延長する手続き(前回記事のテーマ)
- 永住許可:在留資格を「永住者」に変更する手続き。許可後は在留期間の更新自体が不要になる
手数料の議論もこの2つは別枠で検討されます。更新手数料の値上げがすでに実施されている(前回記事参照)からといって、永住許可の手数料が同時に・同じ考え方で変わるとは限りません。混同しないことが、この話題を正しく理解する最初のステップです。
改定の内容(2026年8月時点で公表されているもの)
いまどの段階にあるのかを、順番に分けて押さえておきます。
① 法律は成立・公布済み
改正入管法(令和8年法律第32号)が 2026年5月29日に成立、6月5日に公布されました。この法律で、永住許可申請の手数料の上限額が30万円に引き上げられています。ただし法律が定めるのは上限であって、実際にいくら徴収するかは政令で決まります。
② 具体的な金額を定める政令は「案」の段階
その政令案が 2026年7月3日に公表され、パブリックコメント(意見募集・案件番号315000136)が 7月3日〜8月3日に実施されました。案文には次のように書かれています。
第二十五条 法第六十七条第一項の規定により納付しなければならない手数料の額は、次の各号に掲げる許可の区分に応じ、当該各号に定める額とする。……
三 永住許可 二十万円
出典:e-Govパブリックコメント「出入国管理及び難民認定法施行令……の一部を改正する政令案」(案件番号315000136)
| 項目 | 政令案の内容 |
|---|---|
| 永住許可の手数料 | 20万円 |
| 施行期日 | 2026年(令和8年)10月1日 |
| 減額規定 | 生活困窮者で人道上の配慮を要する者について、2万円まで減額できる規定を新設 |
ここまでが「公表されている事実」です。 政令そのものはパブリックコメントを終えて公布を待つ段階であり、2026年8月時点で公布・確定したものではありません。金額・施行日は公布時に必ず確認してください。
⚠️ 在留資格の変更・更新の手数料も同じ政令案で引き上げが示されており、許可される在留期間に応じて最大7万5000円とされています。永住許可だけの話ではありません。
現行の手数料はどうなっているか
2026年8月時点の永住許可申請の手数料は10,000円(収入印紙で納付)です。許可されるときに納付するもので、申請の時点では不要です。
この10,000円自体、2025年4月1日施行の政令改正で従来の8,000円から引き上げられたものです。時系列で並べると次のようになります。
| 時期 | 永住許可の手数料 |
|---|---|
| 〜2025年3月 | 8,000円 |
| 2025年4月〜(現行) | 10,000円 |
| 2026年10月1日〜(政令案) | 20万円(案の段階) |
政令案どおりに施行されれば、現行から20倍の引き上げということになります。
申請タイミングをどう考えるか(一般的な視点)
手数料が値上げされる制度変更では、一般的に次のような論点が生じます(今回の永住許可手数料についても同種の論点が想定されますが、個別の適用は改定内容の確定後に判断してください)。
- 経過措置の有無:施行日時点で審査中の申請にも新手数料が適用されるのか、申請日基準で判断されるのか
- 駆け込み申請のリスク:値上げ前に慌てて申請しても、書類が不十分なまま出せば不許可・再申請のほうが結果的に時間もコストもかかる
- 永住許可の審査期間:永住許可の標準処理期間は在留資格の変更・更新より長い傾向があるため、「値上げ前に申請すれば逃げ切れる」と単純には言えない場合がある
前回記事(更新手数料の値上げ)では、経過措置の基準日を正確に把握しないまま駆け込むと、結局新料金が適用されるケースがあることを取り上げました。永住許可についても同様の視点が必要になる可能性があります。
企業のHR担当者が押さえておくこと
外国人従業員の永住許可を支援する企業では、次の点を準備段階として押さえておくとよいでしょう。
- 対象従業員が永住許可を検討しているかどうかの意向確認
- 手数料改定の正式発表のタイミングを継続的にウォッチする体制(担当者を決めておく)
- 永住許可の要件(在留期間・素行・独立生計要件等)は手数料改定と無関係に従来どおり審査されるため、手数料だけを理由に申請を急がせない
よくある質問
Q. 今すぐ申請すれば旧料金が適用されますか? A. 経過措置の扱いは、政令の公布時に確認が必要な点です。 手数料の改定では施行日以後に受け付けられた申請から新料金を適用するのが一般的な取り扱いですが、今回の政令案について「申請日基準か、許可の日基準か」を明示した公表資料は本記事の執筆時点で確認できていません。この点を推測で判断せず、公布後の出入国在留管理庁の案内を確認してください。
Q. 永住許可の要件自体も厳しくなりますか? A. 手数料の改定と、許可要件(在留期間・素行・生計要件等)の見直しは別の議論です。本記事執筆時点で要件面の変更情報は確認していません。要件は「永住許可に関するガイドライン」(出入国在留管理庁)に基づき従来どおり審査されます。
Q. 手数料が上がるなら申請しないほうがいいですか? A. 手数料の多寡だけで永住許可申請の要否を判断するものではありません。永住許可には在留期間更新が不要になる等のメリットがあり、個別の状況に応じて判断することになります。
まとめ
- 永住許可の手数料改定は、在留カード更新手数料の値上げとは別の手続きの話
- 法律(上限30万円)は成立・公布済み。 具体的な金額を定める政令は、20万円・2026年10月1日施行という案がパブリックコメントを経て公布待ちの段階
- 現行は10,000円。政令案どおりなら20倍になる
- 経過措置の基準は未確認。 駆け込み申請は、その基準や審査期間次第で必ずしも有利にならない
- 企業のHR担当者は、政令公布のウォッチ体制を先に整えておくのが現実的な対応
政令が公布され次第、本記事を更新します。関連する在留カードの手続きについては「在留カード×マイナンバー一体化の手続き」「在留カード更新手数料値上げ後の実務」もあわせてご覧ください。制度全体は「特定在留カードとは?」でまとめています。


