外国人の入居申込を受けたとき、「日本人と同じ書類でいいのか」「在留カードは何を見ればいいのか」で手が止まることがあります。
書類そのものは、実はそれほど変わりません。変わるのは「その人が今どの立場で日本にいるか」によって、出せる書類と出せない書類があるという点です。ここを取り違えると、審査が止まったり、契約後に「更新できなかった」という事態になったりします。
この記事では、オーナー・管理会社・仲介の立場で、入居申込のときに実際に集める書類を8点に整理します。あわせて、在留カードのどこを見るのか、書類が揃わない人をどう扱うのかまで踏み込みます。
この記事は2026年7月時点の公的機関の案内をもとに整理した情報提供です。制度や様式は改正されることがあるため、実際の運用前に各機関の公式情報をご確認ください。
1. 入居申込で集める書類 8点
まず全体像です。日本人の入居申込と共通するものと、外国人特有のものに分けます。
| # | 書類 | 日本人と共通 | 何を確認するか |
|---|---|---|---|
| 1 | 本人確認書類(在留カード) | ✗ 外国人特有 | 在留資格・在留期間の満了日・住居地 |
| 2 | 住民票 | ○ | 世帯構成・現住所。在留資格も載る |
| 3 | 収入証明(源泉徴収票・給与明細・課税証明) | ○ | 支払い能力 |
| 4 | 在職証明書または内定通知書 | ○ | 就労の実態と継続性 |
| 5 | 連絡先(緊急連絡先・母国の家族) | △ | 連絡が取れるか |
| 6 | 保証会社の申込書 | ○ | 保証会社ごとの様式 |
| 7 | 通帳の写しまたは口座情報 | ○ | 家賃引き落とし |
| 8 | 学生の場合:在学証明書 | △ | 在籍と卒業予定 |
外国人特有と言えるのは1だけです。残りは日本人と同じか、日本人でも求めることがあるものです。
つまり構えることはなく、在留カードの見方さえ分かれば、あとは通常の審査とほぼ変わりません。
2. 在留カードは「3か所」を見れば足ります
在留カードにはさまざまな情報が載っていますが、賃貸の場面で見るのは実質3か所です。
① 在留資格
その人が何をするために日本にいるかです。「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」「留学」「家族滞在」「永住者」など。
賃貸で影響するのは主に就労できるかどうかです。たとえば「家族滞在」は原則として就労が認められておらず、働くには資格外活動許可が必要です。収入証明が本人名義で出てこない場合、この点が背景にあることがあります。
「永住者」「日本人の配偶者等」などは就労制限がないため、この点の確認は不要になります。
② 在留期間(満了日)
契約期間との関係で最も重要な項目です。
在留期間の満了日が契約期間の途中に来る場合、更新されなければ在留資格を失います。ここは実務上、次のどちらかで運用されることが多い箇所です。
- 満了日の前に更新後の在留カードの提示を求める
- 保証会社の条件として、残存期間が一定以上あることを求める
③ 住居地
在留カードの裏面には住居地(届出された住所)が記載されます。引っ越しのたびに市区町村へ届け出て、裏面に記載される仕組みです。
現住所の確認に使えますが、引っ越し直後は未記載・旧住所のままということが普通に起こります。住民票と食い違っていても、それだけで不審と判断する必要はありません。
3. 2026年6月からの新しい在留カードに注意
ここが2026年に入って実務が変わった部分です。
2026年6月14日から、在留カードの新しい様式の運用が始まりました。マイナンバーカードと一体化した「特定在留カード」も始まっています。
実務上のポイントは、券面に書かれる情報が減ったことです。従来は券面に印字されていた次の4項目が、券面から消えてICチップ側に移りました。
- 在留期間
- 許可の種類
- 許可年月日
- 在留カードの交付年月日
一方で、在留資格・在留期間の満了の日・住居地・在留カードの番号・就労制限の有無・資格外活動許可の有無は引き続き券面に記載されます。
つまり、賃貸実務で見る3か所(在留資格・満了日・住居地)は券面に残っています。ただし「在留期間」そのもの(「5年」「1年」といった長さ)は券面から消えたため、目視だけでは確認できない項目が出てくることになります。
対応としては、出入国在留管理庁が提供している在留カード等の読取アプリケーションを使うと、ICチップの内容を確認できます。スマートフォンやPCで読み取る形です。
新様式が出回り始めた時期なので、旧様式と新様式が混在します。片方しか見たことがないと「偽造では」と誤解しやすい場面なので、両方あることを前提にしておくと安全です。
実際、2026年6月の新様式への切り替えでは、金融機関や通信会社の本人確認(eKYC)が一時的に対応できなくなる事例が出ています。賃貸でも同じことが起こり得ます。
4. 住民票にも在留資格が載ります
意外と知られていませんが、外国人住民も住民票に記載されます。
そして外国人の住民票には、日本人にはない項目が載ります。
- 国籍・地域
- 在留資格
- 在留期間と満了日
- 在留カードの番号
つまり、住民票を取れば在留カードの主要項目は裏が取れます。在留カードのコピーと住民票の両方を求めるのは、この照合ができるためです。
ただし注意点があります。短期滞在(いわゆる観光ビザ)では住民登録ができません。 住民票が出せない申込者がいた場合、在留資格が短期滞在である可能性を考える必要があります。
5. 書類が揃わないときにどう考えるか
外国人の入居申込で実際に多いのは、「書類がない」のではなく「まだ出せない」というケースです。
| 状況 | 出せないもの | 現実的な代替 |
|---|---|---|
| 来日直後 | 収入証明・課税証明 | 内定通知書・雇用契約書・会社の在職証明 |
| 転職直後 | 直近の源泉徴収票 | 内定通知書+前職の源泉徴収票 |
| 留学生 | 収入証明 | 在学証明書+送金証明+親族の資力を示す書類 |
| 引っ越し直後 | 在留カード裏面の新住所 | 住民票(転入届が済んでいれば反映) |
| 口座開設前 | 通帳の写し | 開設後に提出する条件で進める |
来日直後は「収入の実績がまだ存在しない」だけで、支払い能力がないわけではありません。 実績の代わりに、これから収入が発生することを示す書類(内定通知書・雇用契約書)で判断する形になります。
ここを「書類不備」で一律に断ってしまうと、優良な入居者を取りこぼすことになります。
6. 保証会社に出す書類は別に確認が必要
保証会社を利用する場合、保証会社が独自に求める書類があります。管理会社が集める書類とは別物と考えたほうが確実です。
保証会社によって差が出やすいのは次の点です。
- 在留期間の残存をどれだけ求めるか
- 緊急連絡先を日本国内に限るか、母国でも可とするか
- 申込書や重要事項説明が何語で用意されているか
3つ目は見落とされがちですが、実務ではかなり効きます。本人が内容を理解しないまま署名した契約は、後々のトラブルの原因になります。
保証会社ごとの違いは別記事で比較していますので、あわせてご覧ください。
7. コピーを取るときの注意
在留カードや住民票には、国籍・在留資格・在留カード番号といった機微な情報が含まれます。
- 何のために取得するのかを本人に説明する
- 審査以外の目的に使わない
- 保管期間と廃棄のルールを決めておく
外国人特有の項目が入るぶん、通常の本人確認書類より扱いに配慮が必要です。ここを整備しておくと、社内でも扱いが揃います。
8. まとめ:確認すべきことは3つだけ
書類は8点ありますが、判断のポイントは3つに集約できます。
- 在留資格 — 就労できる立場か(家族滞在なら資格外活動許可を確認)
- 在留期間の満了日 — 契約期間との関係をどう扱うか
- 収入の実績があるか、これから発生するか — 来日直後は後者で判断する
この3点が押さえられていれば、あとは日本人の入居審査と同じ枠組みで進められます。
2026年6月からの新様式で券面の情報が減っている点だけ、目視に頼らない確認手段(読取アプリ)を用意しておくことをおすすめします。
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